首都圏政策総合研究所の大嶋さんに誘われて、ごみの加水分解処理の視察をさせてもらいました。
実は、昨年も長岡の実験プラントを見学させていただきました。内容は亜臨界(200度20気圧)で加水分解を行ってごみを処理するというものです。
なかなかなじみがなくピンと来ないと思いますが、非常に高圧力で加水分解をすると短時間でごみが分子レベルでバラバラになってしまうのです。
生ごみの堆肥化などでは一次処理で数日間かかったりしますが、この方式だと30分でごみは堆肥のようになってしまいます。また、堆肥化と違ってバクテリアを使わないので臭いがほとんどしないという利点があります。加えて、加水分解に使う蒸気は別のタンクに移すことで繰り返し利用できエネルギー効率も非常に良いのです。
出来上がる液肥は肥料の原料になります。またコストの問題がありますが、醗酵させてエタノールなど燃料にすることも出来ます。
CO2対策など環境問題が世界的課題になっていますが、ごみをただ燃やしてしまう場合に比べてCO2がなんと96%削減できるという技術です。
日本の環境技術はすでに進んでいるのに、これ以上どうやってCO2を削減するのだという議論がされていますが、こんな技術がまだ埋もれているんです。
今回はイビデン株式会社が、実証プラントを作ったとの事で見学させていただきました。
加水分解の液肥で有効活用が出来ると言っても、実際はまだまだ構想の段階です。食品工場の残菜なら成分がある程度はっきりしますが、一般家庭ごみでは中々安定しません。そこで、今回イビデンでは、加水分解で出来た液肥を汚水として処理するシステムを作りました。
簡単に言うと、ごみを燃やさずに水にして川に流せるシステムを作ってしまったということです。
このプラントは出来たばかりで私たちは2番目の見学者というぐらいで、実証実験の最中でした。
いろいろと聞かせていただいたところ、技術の肝は汚水処理になる。ごみから出る液肥の処理で使うバクテリアのブレンドと温度管理が秘中の秘という事のようです。
武蔵村山市が加入している小平村山大和衛生組合のごみ焼却場もあと10年もしたら真剣に建替えを検討しなくてはならない時期がきます。
このような技術が1日も早く実用化され、20年後には、「昔はごみを焼くなんて、CO2を撒き散らすような事をしてたなあ。夏も異常に暑かったし。」と懐かしがりながら、今よりは過ごし易い夏になっているのではと期待をしながら、視察を終えました。