いよいよ、北朝鮮国内だ!バスは、宿泊場所の羊角島ホテルに向かう。羊角島ホテルは、ピョンヤン市街の真ん中を流れる大同江の中にある羊角島に聳え立つ47F建ての高級ホテル。ホテルの中に入ると、とにかく寒い。
空港からの道でまず気が付いたのは、歩いている人がやけに多い事。そして車が少ない事。飛行場から1度も信号に止まることなく、ノンストップでホテルに到着する。そもそも、信号は見当たるが信号の電気が一つも点いてない。代わりに、大きな交差点には若い女性の交通整理員が立っている。
夕食を食べに行くと言う事で、ホテルを出発する。真っ暗闇を10分ほど走り清流苑?なるレストランに到着。レストランと言っても、ビルの1Fの座席数約30ぐらいの部屋。ここも寒い。入ってみると、1つのテーブルだけに先客がいて日本語を話している。後で気づくことになるが、日本人観光客はどのグループも同じ料理屋で、同じ料理を出される。
夕食は鍋料理、肉の細切れに野菜などが入ったもの。最後に卵でとじる。あと、みんなでつまむ中皿ぐらいの料理が2.3皿。思ったほど辛くない。というより味が薄い。
腹一杯になるだけ出るが、最初にパンを出して、さいごにベチャッとした黒っぽいご飯が出た。パンとご飯で腹を膨らませる作戦かも。
いずれにしろ、ここは外国人専用の高級料理屋。でも、パイプ椅子。
食事しながら、リピーター客は北朝鮮素晴らしい国だと大絶賛する。強制連行の反省など、うれしそうに話すので、知的水準が分かる。未だに居るんだと思う。
食事中の会話
ガイド(監視員)「北朝鮮は怖い国と言われてます。悪意の朝鮮を日本で伝えないで下さい。ありのままの朝鮮を日本で伝えてください。」
私 「街灯も無い。交通の便も無い。食事するところも見当たらない。自由も無い。」
ガイド(監視員)ちょっと、ムッとして「日本だって自由が無いです。北京より不便だ。私が日本でタクシーを拾おうとしたら、パトカーが止まった。」
私 「そりゃそうでしょ。北朝鮮の工作活動するかも知れないでしょ!」
ガイド(監視員)話題を変えようと・・「朝鮮は日本と仲良くなりたいんです。歴史的にはいろいろあったけど・・・。」
私 「それは、金日成の作った歴史でしょ!」
ガイド(監視員)また、ムッとしながら・・
「北朝鮮は怖い国ではありません。皆さんに危害を加えません。来るまでどう思ってましたか?」
他の客も「家族や友人から危ないと言われた。でも、そんな事ない。」などと言う。
私 「拉致被害者のご家族から、とにかく危険だからやめて欲しいと言われました。実際に被害に遭ってる方からの話は重かったです。でも来ました。」
さすがのガイド(監視員)も一瞬黙る。
とうとう、ガイドが、「日本語ガイドは割りに合わないんだ。」とぼやき始める。
「中国の観光客は一度に千人も来るのに、日本人は全然来なくて仕事にならないんだ!」
他にも彼らの話として、自由行動出来ない外国人は日本人だけとの事。本当は自由に行動させたいのだが、歴史的な問題もあって、日本人は自由に歩くと襲われる危険があるのでガイド(監視員)をつけざる負えないのだそうだ。日朝国交正常化すれば、自由に行動出来るようになるので、それまで我慢して欲しいとの事。
だけどね!
歴史的に朝鮮人は日本人を殺したいほど憎んでいるならば、日朝国交正常化したって一緒じゃない!
主体思想に洗脳されるとそんな事にも気が付かなくなるんだ。
ついでに、3日間で、勝手気ままに歩いている観光客なんて一人も見かけなかった。
ガイド(監視員)の与太話はともかく、今回のツアーには重要なミッションが一つ!
それは、北朝鮮向け短波放送 「しおかぜ」の傍受。
短波放送しおかぜは、拉致被害者ご家族のメッセージを30分づつ、一日2回放送しています。
夕食後部屋に戻り、なんとか持ち込んだ短波ラジオのスイッチを入れて、傍受の準備をします。実は羊角島ホテルにチェーンロックはありません。北朝鮮工作員は、合鍵で自由に部屋に入る事が出来ます。
そう!このホテルは鍵が使えないのと一緒です。
不測の事態に備えて、出入り口にリュックなど荷物を置いておきました。以来、帰国まで毎日、出入り口に荷物や備品を並べて気をつけました。
北朝鮮の事です。スパイ行為だと言いがかりをつけられても反論出来ません。
結局、この日の夜は「しおかぜ」の傍受に失敗しました。
万が一を考え、電気は消さずに就寝。ただ、しょっちゅう停電になる。