武蔵村山市議会議員 天目石要一郎(あまめいし よういちろう)の活動報告

利権屋や某カルト団体の政治圧力の暴走捜査などの嫌がらせにもめげず、利権や不正とたたかっています。

小中一貫校入札の疑義について

 7月17日の小中一貫校工事の入札に関して、事前に善家議員に匿名で落札予定業者を伝える談合情報が寄せられました。その事について、役所には「事前情報があったのか?」、また、談合について調査すべきではと質問をし、その事をブログで紹介したところ、議会運営委員会が開催された事は以前この欄に書きました。
 その後、9月19日に市が業者をから事情聴取を行ったところ、「談合があったと認められない。」との結論が出ました。

 議長と、議会運営委員会委員長より、私に報告書を提出するようにといわれましたので、この間、談合疑惑について調査してきた事について21日にひとまず、取りまとめた報告書を提出しました。

 以下、報告書を掲載します。



     武蔵村山市立小・中一貫校(仮称)整備工事(内部改修・第一期工事)入札に関して
                調査報告

 7月17日(木)に入札された 武蔵村山市立小・中一貫校(仮称)整備工事(内部改修・第一期工事)入札に関して、入札談合があったのではと疑義があったために調査をおこなった。現時点で浮き彫りになった点について報告する。

               現時点での結論
          談合が行われた可能性が高いと思われる。

   今回の調査について
 日本弁護士連合会が「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告」にて、「発注者は、入札が終わってから談合を摘発することはほとんど無力である。」と書いているように、入札後に談合の有無を証明する事は、ほぼ不可能である。しかし、入札に関して情報を収集・分析する事で、談合があった可能性が高いという結論は導き出す事ができる。
証明の困難性から、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律は次のようになっている。


        公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

公正取引委員会への通知)
第十条 各省各庁の長、特殊法人等の代表者又は地方公共団体の長(以下「各省各庁の長等」という。)は、それぞれ国、特殊法人等又は地方公共団体(以下「国等」 という。)が発注する公共工事の入札及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。


談合の証明の困難性のため、疑わしい事実があるだけで、公正取引委員会に対して市長は通知しなければならないのである。

以下、疑義を感じる不自然な事象を数点紹介する。


    1.事前情報について

 7月17日の入札前に善家議員に「東村山市野口町・・・。マスダコーポレーション・・・・。7月17日・・・。」という匿名の不自然な電話が掛かってきている。善家議員本人は、匿名電話の意図が分からず、市当局に伝える事が出来なかった。
 7月17日に行われた入札の結果、落札者は
東村山市野口町4丁目16番地9
株式会社 増田コーポレーション

と、匿名電話と全く一致している会社が落札をしている。



   2.入札金額について

  入札金額に関しては、本命業者は緻密に積算を行うが、本命以外の会社の入札金額は大雑把になりがちと言われている。そこで、各社の入札金額を比較してみる。(資料1)

  1.株式会社 増田コーポレーション  133,568 千円
  2.株式会社 山武コーポレーション  135,600 千円
  3.関建設工業株式会社 武蔵村山支店 140,000 千円
  4.株式会社 山口建興        140,040 千円
  5.株式会社 興建社 多摩支店    140,500 千円
  6.菊池建設株式会社 東村山支店   140,670 千円
  7.立花建設株式会社 多摩支店      辞退

 今回の入札は千円単位での入札である。しかし、千円単位で応札した会社は、落札者だけである。各社、緻密に積算をして入札金額を作ったなら、応札金額は千円単位になるはずである。




     3.質問書について


  談合がまとまった場合、落札予定者以外が質問する事は無い。落札者予定者以外が質問をすると談合破りをするのではと疑われるからである。今回の入札で質問書を提出した企業は、落札者だけであった。(資料2)

 落札者から出た質問は以下3点であった。
1.夏休み期間は7月19日(土)から、8月31日(日)ですか?また、期間中は全室使用無しですか?作業時間何時まで可能ですか?
2.グランドピアノ移設後、調律は工事範囲ですか?
3.北側道路からの資材搬入又工事は可能ですか?

 質問を見て分かるように非常に基本的である。落札者以外は、正確な夏休み期間や、教室の使用状況、作業可能時間も分からないのに積算が出来たのであろうか。


 
       談合は無かったという主張に対して


 何点か、談合の疑義と思われる点を列挙したが、談合はしなかったという論があるので、そちらについての反論を述べておく。


    1.誓約書について


 市議会での指摘により、9月19日に市は事情聴取を行っている。その時、関係業者から談合は一切行っていないという誓約書が提出されている。(資料3)
 しかし、談合を行っていないという誓約書を出している業者であっても、談合事件で摘発されている事例は多々ある。誓約書があるという理由で、談合が無かったという証明にはならないのである。

 例 国土交通省 鋼橋上部工事の入札談合事件(平成17年 いわゆる橋梁談合事件)
 
 数年前世間を騒がせた、この事件の場合、談合をしていないと8社が誓約書を出している。ちなみにこの8社は虚偽の誓約書を提出したため、指名停止期間が加重された事も付け加えておく。



   2.事情聴取について


 談合は証明が難しいため、ゲームの理論でいう「囚人のジレンマ」と呼ばれる方法で事情聴取が行われるのが一般的である。正直に話さないと、他の業者から自分に責任をなすりつけられて罪が重くなるかもしれないというプレッシャーの中で事情聴取を行うという方法である。

 事情聴取では業者同士の辻褄合わせ防止のため、抜き打ちかつ、全業者を同時に個別で事情聴取をするのが基本である。今回は事情聴取の基本が全くなされていないのである。

 まず、2日前に通知を出した上で事情聴取を行っている。これだけで、各社辻褄合わせが可能になっているだけでなく、ご丁寧にも、事情聴取前には関係各社が一同に顔を合わせるようになっているのである。(資料4)

 入札経過に係る事情聴取について

 1.日時   平成20年9月19日(金) 午後3時

 2.場所   武蔵村山市役所4階 403号室
        武蔵村山市本町一丁目1-1

 3.その他 入札に係る経過をお聴かせいただきたいので、事情の分かる方
       が、名刺を持参のうえ、来朝いただくようお願いします。


 このような方法では辻褄合わせが非常に簡単であることは言うまでもない。



 また、事情聴取の日時を列挙してみる。

9月19日(金) 午後3時17分  株式会社山口建興      406会議室

9月19日(金) 午後3時26分  関建設工業株式会社     406会議室

9月19日(金) 午後3時30分  立花建設株式会社      406会議室

9月19日(金) 午後3時33分 株式会社山武コーポレーション 406会議室

9月19日(金) 午後3時35分  菊池建設株式会社      406会議室

9月22日(月) 午後4時34分  株式会社 興建社      301会議室

 事情聴取時間をみれば分かるように、約3分刻みで事情聴取をしているのである。403号室から各社を個別に呼び、406号室まで移動する時間まで含まれているのである。これでは、ただ、事情聴取書にサインを求めていただけと思われる。
 この事情聴取書を持って、談合が無かったと断定する事は出来ない。


  終わりに

 現時点で、報告として情報提供できるのはここまでである。今回の入札に関して調査したところ、談合を行った場合に起こりがちな不自然な事象が多々あることがわかった。一方、談合が無かったと主張する根拠が非常に薄い事も浮き彫りになってきた。このおうな事象を比較するに、談合が行われたとの疑義の念を強くせざる負えない。今後とも、注視をしてゆかなくてはならないと考える。


参考文献
・「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告」  日本弁護士連合会 2001年
「談合の経済学」 東京大学教授 武田晴人 集英社 1999年
「不正入札」 加藤正夫 彩図社 平成19年
                      他
 

以上が報告書です。報告書には添付資料を付けましたが、添付資料の内容を出来るだけ本文に入れてありますので、添付資料が無くても分かると思います。原本が必要な方は、私に連絡をくださるか、議会事務局に行けば見ることができます。