第19回 東京都道路整備事業推進大会に参加してきました。
この大会は毎年11月ごろに、
・道路特定財源を守りましょう。
・道路予算を獲得しよう!
と言う理由で行われる大会です。都下全市町村議員と関係職員が日比谷公会堂に動員されて行われます。
私は今年は中止だと思っていました。
なぜなら、今年の春の国会で、揮発油税の税率が論議されていた時に唐突に、
「福田総理が揮発油税の一般財源化!」を打ち出してしまったからです。
ドサクサ紛れに親の仇を子が討ったといえます。
どう言うことかというと・・・
ガソリンを買ったときに払うことになる揮発油税は道路を整備するためだけに使われることになっています。その理由は、ガソリンは自動車が利用する。自動車には道路が必要という理屈からです。
これを道路特定財源と言います。
では、この税金の使われ方を考えて見ましょう。道路特定財源ですので、国土交通省道路局が中心になって使いみちを決めることになります。田中角栄が作ったというこの税制度は、田中派の権力の源泉となってきた税金です。
「私が当選した暁には、この村に高速道路を通してみせます!」などと田中派議員は地元民にアピールが出来ました。
さて、一方、大蔵省出身の福田赳夫は、ミスター大蔵省です。また、大蔵大臣時代に初の赤字国債発行を決断した人です。赤字国債を一度発行したらズブズブになっていってしまう。今のような状況に成ってしまう事を懸念して、赤字国債発行を逡巡したと言われています。
国の予算を均衡財政にもどすためにも、道路特定財源を一般財源化したいという真っ当な財政論に加えて、田中派・ゼネコン・道路官僚が鉄の三角形を作って、票とカネをがっちり抱え込んでいる。
「非常にむかつく!」という本音もあったと思います。血みどろの自民党総裁選挙をお互い行いましたから。
爾来30年、いや40年、福田赳夫の秘書 小泉純一郎が首相になりました。
「構造改革なくして、日本の未来はない!」とまずは、道路公団民営化、その先には道路特定財源一般財源化を行う。 師匠 福田赳夫の悲願を実現する。
「自民党をぶっ壊す!」という言葉の裏には田中派利権をぶっ壊すという意味があったはずです。
しかし、小泉内閣を持ってしても本丸の道路特定財源改革にはたどり着けませんでした。それぐらい、牙城が固かったのです。
さて、この3月、4月揮発油税の税率を特例で法律の2倍にしてきたですが、特例法の期限切れでガソリンが安くなる、安くならないと大騒動になりました。
このドサクサの中で、福田総理は道路財源一般化を打ち出しました。ちょっと考えれば、議論の落としどころとしては、微妙に変なのですが、何故か通ってしまいました。
味噌ラーメンを食べようか、醤油ラーメンを食べようかと迷っていたら、何故か中華丼が出てきたようなものです。
話は、逸れてしまいましたが、道路財源を横取りしようとする大蔵一派から守るというのが道路大会の一番の意義でした。(そんなことは、配布される資料には一言も書いてませんが。)
道路特定財源という本丸が落ちてしまったので、政治的には、今は敗戦処理をやっている訳です。
ですので、もう、道路大会は止めるんだろうと思っていました。
別に道路大会を開催しなかったからと言って予算が減らされる訳でもありませんし、開催したら増えるわけでもありません。現に、埼玉県をはじめとして、道路大会をずいぶん前から取りやめている地域がありますし。
さて、これぐらい意義の見出せない道路大会がどんな様子だったかというと・・・・。
まず、決議文が大幅に変わっていました。今までは、「道路特定財源を守るぞ!」という趣旨の言葉が必ず入っていたのですが、完全に消えていました。
数年前は、「道路が欲しけりゃ、国に頭を下げなさい!」という趣旨の(もっと表現は穏やかでしたが・・)地方自治体を小馬鹿にした決議を上げさせられたりしました。私は一人で怒り狂っていたのですが、今回、そんな表現はありません。
決議文は、表向き都内の区市町村長が議論して決めたことになっていますが、まともに議論してないんだと思います。国の役人が書いた文案をただ通しているだけだと思います。
ちなみに、私たち参加者には決議文は当日会場で配布されます。質疑など一切出来ません。
当然、決議に反論は許されません。
この道路大会もここ数年でずいぶんと様変わりしました。
小泉改革までは、道路大会は国土交通省の道路局長の代理の方が出席されていました。国土交通省から、会場まで歩いてたったの5分なのに・・・。
私たちは代理の方の挨拶を拝聴させていただくために市を挙げて参加させていただいておりました。
道路公団民営化論議のころから、道路局長様、ご本人が出席されるようになりました。
自治体に対して強圧的な決議を上げさせることもなくなりました。
そのうち、道路局長が「参加者の皆様、お手元の資料を御覧ください。」と慣れない敬語で道路の重要性を説明するようになりました。今回も、道路局長が資料の説明をしました。居酒屋タクシーなどがあったせいか、冒頭に頭を下げたほどです。
随分と国の態度も変わったものです。
そんな、道路大会でしたが、今回印象に残ったのは・・・
司会者が、「本日のご来賓のご紹介をさせていただきます。参議院議員 たまがわ まるよ様」とうっかり間違えると、「丸川珠代です!」と叫んで、そのまま帰っちゃった丸川珠代でした。
司会者も、「失礼しました!」と訂正する訳でもなく、そのまま何事もなく来賓紹介を続けてました。
丸川珠代と司会の女性との間に、以前なにかあったのだろうか。