「国民党が私を逮捕できるとすれば私の屍だけだ」と言って警官隊に包囲される中、鄭南榕さんがガソリンをかぶって自決してから20年になります。
当時、台湾は中国国民党の独裁政権により戒厳令が敷かれ、言論の自由は無く白色テロが行われていました。今の、中国共産党や、朝鮮労働党のような弾圧が行われていました。ちょっとしたことで逮捕、拷問、長期間の懲役、暗殺などです。
そんな、蒋介石、蒋経国と続く言論の自由の無い恐怖政治の中、鄭南榕氏は「自由時代」を発刊、許世楷氏の「台湾共和国憲法草案」を掲載し、中華民国体制から台湾独立を訴えました。しかし、時の国民党政権に反乱罪容疑で逮捕されそうになり、言論の自由を求めて「自由時代社」に立て篭もり、警官隊の前で冒頭の言葉を発して自決されました。それが、今から20年前1989年の4月7日です。
ご遺族の奥様とお嬢様を向かえて 宗像隆幸さんと川村純彦さんを講師に講演会が行われました。
実は私は鄭南榕さんのお名前は知っていたのですが、外省人であったことを初めてしりました。(外省人とは、元々台湾にいた人ではなくて、戦後蒋介石と共に台湾を占領した人々です。)外省人でありながら、2・28事件の真相究明や、台湾独立を訴えていました。私は、台湾の民主化の過程で何故民族紛争が起きなかったのだろうかと不思議に思っていたのですが、鄭南榕さんのように外省人でも「大陸反抗!」などと言わずに「台湾独立!」を訴える方がいたからこそ、民族紛争にもならずに済んだのかもしれないと思います。
宗像・川村両先生の講演で鋭い視点だなあと思ったことは・・・。
宗像先生
中国共産党の軍事戦略は、今後 中台合同軍事演習を重ねるという方法を取って、人民解放軍と台湾軍の融和をはかり、台湾併呑、台湾統一へと向かうのではないか。そうすれば苦労せずに台湾併呑が出来る。
川村先生
比較的安心出来る状況。
台湾軍がP3C(対潜哨戒機)を12機導入することにした。P3Cにより、台湾海峡の中国共産党
の潜水艦の動きはリアルタイムで台湾軍・米軍・自衛隊が共有する事が出来るようになった。
人民解放軍(中国共産党軍)は約1300発のミサイルを台湾に向けているが、火薬量にして650トンでしかない。コソボ紛争での火薬量の数十分の一でしかない。
人民解放軍は空母の建設に入ったという事だが、全く脅威にならない。なぜなら旧ソ連の技術で作っているからである。旧ソ連の空母はカタパルト(射出装置)を作る技術を開発できなかったため、旧ソ連の空母は原子力潜水艦の目隠しにしかならなかった。人民解放軍の空母も戦闘機の離発着は出来ず、目隠しにしかならない。
不安になる状況
中国の海南島には、潜水艦基地を建設している。基地の状況が空からは全く分からないようにカモフラージュしている。今後、南シナ海諸国はフィンランド化する可能性がある。(中国の脅威の前に萎縮してしまうこと)
以上のような示唆に富んだ講演内容でした。
鄭南榕氏は、台湾独立を叫び亡くなりましたが、20年たってもまだ、独立は果たされていません。今でも台湾人のパスポートは中華民国です。
ついでに、外国人登録証は中国人になっています。