いったん、ホテルに戻った後、最後の夜なので、夕食は豪華に焼肉という事になりました。私は、下痢と吐き気で全く食欲ありませんでしたが、自由行動は出来ない国ですので一緒にゆきました。
高層住宅群の中にあるレストランで、出された焼肉は、「ア・ヒ・ル」。牛じゃありません。豚でもありません。
「ア・ヒ・ル」です。もう、アヒルしか出せない食料事情なのかもしれません。
ブロイラーの肉1キロ生産するのに必要な穀物量は、2キロ。豚肉なら4キロ。牛肉なら8キロと言われています。アヒルなら、多分ブロイラーと同じような数値になるでしょう。
ひょっとしたら、牛や豚を育てるだけの穀物が確保できないのかもしれません。当然、追加料金で、牛や豚にチェンジ出来ますとも言われませんでした。
肉は、アヒル1種類でした。でも、肉お替りはOKでした。
私みたいにほとんど手をつけられない体調の者もいるし・・。
私は食欲も無いので、ちょっと手をつけただけでした。充分美味しかったです。
同じテーブルなので、親北の人たちとボツボツと世間話をしました。どうやら見えてきたのは、根の悪い人たちではないなという事と、主体思想を一つの人間哲学として捉えていて究めたいと思っているようだと言う事でした。
北朝鮮と組んで、日本国内でテロ工作を行うタイプではないようだと言うことです。北朝鮮と友好親善を見込まれる市民団体名簿などを、社会党共和国連絡部を通して北朝鮮に流れ、日本人拉致のターゲット選定に使われたと言われています。
チュチェ思想も人間革命なのだそうです。なら、まだ創価学会でもした方が話相手が増えるだろうにと、老婆心ながら思いました。
もっとも、どちらも、私は全く必要無いものですけど・・・。どちらも私に勧誘に来ないで下さい。
親北の彼から一言言われました。
「天目石さん、金正日総書記のような立派な指導者になってください!」
一瞬、頭が真っ白くなりました。これは、誉めてくれているんだろうか?批難しているんだろうか?
散々、監視員を思考停止状態に追い込んでいたのですが、これには私が思考停止に陥りました。
食事後は、追加料金各人1千円を取られて、夜の平壌ナイトツアーでした。チュチェ思想塔などが、多少ライトアップされているというだけです。これで、金正日総書記の誕生日のために特別街を明るくしているというのだから、普段は大変な状況だということでしょう。
ライトアップと言っても、11時のしおかぜ傍受の時にはすでに消えて、星明りの平壌に戻ってました。